so_king’s diary

高円寺北のポップアップ カレーShop!「かりい食堂」ブログです

魔法的 スパイス的

突然ですが、好きなスパイスは何ですか?シナモン?クミン?ターメリック

スパイスの世界には多彩なキャストがそろっていますが、僕のベストスリーはコリアンダー、カルダモン、クローブです。華やかさや鮮やかさ、鼻腔をふわっとにぎわすような香り高いスパイスが好きみたいですね。

 

そんなスパイスを組み合わせて仕上げるカレーづくりにハマってちょうど10年になります。あらためて、本当に奥が深いというか、とにかく面白いというか。香辛料それぞれのタレントやポテンシャルを最大限に引き出すべくキャスティングし、油や熱で最適な演出を施す。優れた料理人は才能豊かな演出家なのかもしれないし、名プレーヤーを一体にまとめ上げる指揮者なのかもしれない。

 

というようなことを考えたのは、先日参加したガチベンガルの料理教室にて。例えばチキンと玉ねぎと数種のスパイスで仕上げたチキンジョル、例えば薄く拍子切りしたじゃがいもをターメリックとレッドチリだけでほっくり炒めたポテトバジなど。バングラディッシュ出身の女性が作る料理は極めてシンプルであり、調理技法も簡にして要、簡にして素。材料とスパイスさえそろえれば、誰でもおいしく作れそう。チョロイもんだぜ的なノリで僕も教わりながら作ってみましたが…驚いたことにバングラディッシュのお母さんがお手本に作った料理のほうがおいしい!なぜなんだ?分析的に考えると鍋中の温度のコントロール、素材の火入れによる脱水の加減が絶妙なんだと思います。ただ、僕の感覚ではお母さんがスパイスで魔法をかけたような感じ。そう、それはまさにスパイスマジック。

 

決して、秘密めいたスキルやテクニックを用いているわけではありません。どちらかというと、ざっくりと作っていました。雑だったり、適当に見えるプロセスもあります。でも、そんな工程を経て仕上げられた料理は美味のマトを射たようなぴったり足の着いた味わいがあります。言ってみれば、火と油と塩とスパイスだけなのに素晴らしくおいしい料理ができ上がる。なんだか本当に不思議です。その料理教室ではレシピや調理のコツという表層を学んだと言うより、インド・バングラデッィシュ・ベンガル地方で脈々と受け継がれてきた歴史や伝統、その深淵をのぞき見ることができました。大きな収穫です。

 

こんなことを書いていたら、またインドに旅立って現地の味を感じ学びたくなってきました。また一方で、日本に生まれ育ってきた自分がスパイス料理の至高に憧れ、カレーづくりに取り組み続けることの意味もよりいっそう考えていかなきゃとも思います。自分なりの回答をまとめられるようになるのはいつになるのでしょうか。茫洋とした気持ちになりますが、ひとつひとつを丁寧に、素材とスパイスに向き合い続けるしかないのでしょうね。いやはや。

 

▼料理教室で作った料理はこちら。ベンガル感あふれる品々。

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